女性が受ける職場でのセクハラについて、今でこそ会社側へ被害の声を上げやすい環境になってきました。
そのきっかけとなった勇気ある女性「晴野まゆみ」さん。
日本で初めてのセクハラ裁判を起こし勝訴しました。晴野まゆみさんについて調べてみました。
- 日本初セクハラ裁判を起こした晴野まゆみさんとはどんな方?
- セクハラ裁判の概要
- きっかけとなった男性上司の”嫌な言動”まとめ
- 裁判中も止まらないセクハラ発言
- 裁判の行方はどうなったか
日本初セクハラ裁判を起こした晴野まゆみのプロフィール
晴野まゆみさんは1989年8月にセクシャル・ハラスメントを理由とした民事裁判「福岡セクハラ訴訟」を提起した原告です。
まずは、晴野まゆみさんのプロフィール一覧はこちらです。
晴野まゆみプロフィール | |
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名前 | 晴野まゆみ |
生年月日 | 1957年(昭和32年)8月 |
出身地 | 東京都 1971年(昭和46年)福岡県へ転居 |
学歴 | 福岡雙葉高等学校 西南学院大学 文学部外国語学科英語専攻 |
職歴 | 大学卒業後イベントプロモーターの会社 1986年(昭和61年)福岡市の出版社へ就職 1988年(昭和63年)同社を不当解雇される 以降フリーライター 2012年(平成24年)株式会社チームふらっと設立 |
晴野まゆみさんは学生時代から執筆することが好きだったそうです。
大学卒業後はイベント企画会社に就職したあと、念願の出版社へ転職。
その出版社で当時の男性編集長からセクハラを受け、入社から2年余りで不当解雇されました。
裁判後に結婚したが子供は非公表
晴野さんの結婚歴や家族について調べたところ、裁判後に結婚されたようです。
しかし、子供がいるかは分かりませんでした。
女性としてプライベートな情報の取り扱いの重さを世に訴えてきた晴野さんだからこそ、あえて子供の有無を公表していない可能性もあります。
現在の仕事は出版社代表
”誰しもが平等に”という想いが込めらた会社を設立。
裁判を起こし勝訴したあと、西日本の道の駅に特化した情報誌「ふらっと」を創刊。
2012年には「チームふらっと」として会社を福岡に設立されています。
この会社名にも”誰しもが平等な会社に”という想いが込められています。
2024年時点で、紙の冊子発行はすでに休刊していますが、現在もWEBサイトにて情報発信を続けている編集者です。
セクハラ裁判の概要
福岡セクシャルハラスメント事件は1992年に元上司の行為がセクハラだったと認められた。
晴野まゆみさんが男性上司を相手取り福岡セクシャルハラスメント事件とも呼ばれる日本初のセクハラ裁判を起こしました。
入社から裁判に至った流れはこちらです。
- 晴野まゆみさんの仕事っぷりに上司の編集長より評価される。
- 男性上司は男より仕事ができることを疎ましく感じる。
- 社内や取引先の相手に晴野さんのセクハラ発言を吹聴。
- 会社に相談したが「会社に来なくて良い」と言われ退職に追いやられる。
- 1989年8月5日に元職場の上司と会社を相手取り民事訴訟を起こす。
- 1992年に元上司のハラスメントが不法行為だったとして、慰謝料165万円の支払いを命じた判決が言い渡された。
注目を集めた理由として、当時の会社における女性の扱いがあまりにも配慮がなかったからです。
たとえば、このようなことが横行していました。
- 女性は”職場の華”扱いで重要なポストに就かせてもらえない
- 男性より早く出社し、オフィスの清掃と男性社員にお茶を淹れる。
- 「女性の声が華やかだから」という理由で外線電話を取るのは女性の仕事。
- ボディタッチや下ネタの話題は”コミュニケーションの一部”として我慢。
男女雇用機会均等法が施行されて平成の世になっていても、実態は男性中心の職場。
女性が不当な扱いに対して声をあげる雰囲気はありませんでした。
だからこそ晴野さんが訴えを起こしたことは当時画期的だったんだね
裁判で明らかにされた当時の上司のセクハラ言動をまとめてみました。
裁判を起こしたきっかけは上司のセクハラ言動
晴野さんが語った上司のセクハラ言動をまとめました。
卵巣腫瘍のため一か月入院することを会社に伝えたら、取引先への電話で誇張して話された。
「『晴野が入院することになって。盲腸じゃなくて、ほらほらあっち、あっちの病気。
そうそう、もう夜遊びが激しくって』って。
『だから、あそこがちょっと不具合ができたんだよね』みたいなことを目の前で言わた。引用:nhk
書いた小説が市の芸術祭で入選した際、あることないこと嘘を吹聴された。
「実体験に基づくポルノだろう」。
社内外の男性と「男女の関係になった」と周囲にウソを吹聴する。引用:yomiuri
社長や専務に相談したら、不倫を脅され不当解雇へ追い込まれた。
「不倫のことも全部知っている。会社に迷惑だから辞めてほしい」。
確かに一時期、既婚者と交際していたことがあった。それを脅しの材料に使うなんて――。
専務や社長に相談した。
専務に「明日から会社に来なくていい」と告げられた。退職しか選択肢はなかった。
「君は有能だが、男を立てることを知らん。男は男の味方をするもんなんだ」 引用:yomiuri
自主退社を強制的に促されましたが、当該男性上司は3日間の謹慎だけだったそうです。
男性上司の意識が低いことも当然ですが、会社の対応が最悪でした…。
裁判中も終わらない嫌がらせ
嫌味に耐えながら裁判を乗り切ろうとするも晴野さん我慢できずに大事件を起こしてしまう展開に…。
意を決して裁判しようとしますが、簡易裁判所でもつらい目に遭ったようです…。
「年配の男女の調停員2人が『あなたは若くてきれいだから、いろいろとやかく噂を立てられたんでしょ。(女性は)そういう噂を立てられるうちが花じゃないですか』と。引用:nhk
訴えを起こすことですら大変な時代…
「原告A子」として名前を隠して家庭裁判所に提訴しましたが、男性上司の証人として出廷してきた男性が最悪の証言をしたのです。
馬鹿にした言動が許せなかったため、裁判所の廊下で思わずその証人男性をビンタ。
女性弁護士や女性支援者たちも晴野さんの行動に絶句、誰もがこの訴訟は負けると思ったとのことでした。
セクハラ裁判の判決
相手側の証人に手を上げてしまう不利な展開となってしまいましたが、判決は全面勝訴を勝ち取ります!
裁判長が重視したのはこちらのポイントです。
- 異性関係の発言が不法行為に当たる
- 会社は男女を平等に扱わず、女性を犠牲にして職場環境を調整しようとした責任
セクハラに関して海外の判例も参考にしたそうです。
「日本は遅れていると感じた。単なる職場のトラブルと捉えずに、性差の問題と気づいて判決を下した」と裁判長は後に語っています。
この裁判をきっかけに、男女雇用機会均等法にさらなる規定が設けられ、企業側は”セクシュアルハラスメントの防止や対策に努める義務がある”と改正されました。
晴野さんが声をあげたことで、世の中が変わる第一歩となった瞬間でした。
まとめ
日本初セクハラ裁判を起こした晴野まゆみさんについて調べてみました。
- 晴野まゆみさんのプロフィールを知らると、念願の出版社へ就職して仕事熱心だった。
- 仕事ができる女に対して気に食わなかった男性上司が嘘を吹聴。
- 相談した会社の専務からも「男を立てる姿勢がない」と言われ自主退職を促される。
- 簡易裁判所では調停委員からもセクハラ発言があり断念しかかるが、女性弁護士とともに家庭裁判所へ提訴。
- 相手側の証人男性が笑いながらセクハラ発言を法廷で繰り返す。
- 我慢できずに裁判所で証人男性を平手打ち。
- 負けると思われたが、全面勝訴!
- 理由は裁判官が海外の判例をもとに日本の性差別が遅れていることを実感したから
- 晴野さんは裁判後に結婚。子供がいるかは非公表。
現在、セクハラについて声を上げやすくなった環境を作ってくれた第一歩がこの裁判だったようですね!
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