「虎に翼」寅子の父直言の逮捕から大汚職事件という衝撃的な展開となりました。
ドラマの共亜事件のモデルとなったのは、帝人事件という実話です。
帝人事件についてわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- 帝人事件をわかりやすく解説
- 虎に翼の共亜事件のモデルは帝人事件
- 帝人事件と三淵嘉子の父の関係は?
- 帝人事件と石田和外(桂場統一郎のモデル)の関係は?
これらを解説します。
目次
帝人事件をわかりやすく解説
帝人事件は、1934年に銀行の頭取や政治家を巻き込んだ疑獄事件で、裁判では全員無罪となっています。
帝人事件の概要をわかりやすく説明します。
1927年金融恐慌により、総合商社鈴木商店が倒産しました。
日本統治下の台湾銀行は、担保として子会社である帝国人造絹糸(帝人)の株22万株を所有しました。
その後帝人が業績を上げ、財界人グループが帝人の株を10万〜11万株ほど入手しました。
この大きな取引の影響もあって、市場の株価があがって、財界人グループは大きな利益を得たのでした。
1934年、時事新報が、財界人グループの裏には口利きをした政治家がいたと、贈収賄と銀行も加担した株の不正取引があったのではないかと報道し、政界 ・経済界のスキャンダルを暴こうとしました。
この記事をきっかけにして、財界グループの他、帝人社長や台湾銀行頭取以下関係者など、計16人が逮捕・起訴されました。
大蔵省の次官や銀行局長も起訴されたため、政府への批判が高まって、斎藤実首相の斎藤内閣が総辞職することになりました。
予審の段階ではほとんど全員が自白していましたが、裁判では、全員無罪となりました。
予審とは、ドラマでも説明していましたが、予審判事が事件を裁判にかけるかを決定するために必要な事項を取り調べる公判前の訴訟手続で、非公開で、弁護士の立ち合いを認めていませんでした。現在は予審制度はありません。
犯罪の物的証拠は見つからず、裁判では、全員が罪状を否認したのです。
勾留期間は200日という長時間に及び、検察のかなり強引な取り調べがあったという証言もあり、自白の強要に繋がっていたのかもしれません。
正式な取引としての株売買があるだけで、わいろだという帝人社の株1300株は事件前の1933年6月19日以降ずっと、、富国徴兵保険会社の地下金庫の中に入ったままであるなど、犯罪の痕跡となるものは、どこにもありませんでした。
1935年から始まった裁判は、1936年の2.26事件(帝人事件で総辞職した元総理大臣の斎藤実)の後、1937年に起訴された全員が無罪となりました。
裁判長は、証拠不十分による無罪ではなく、最初から犯罪の事実自体がなかったのだと、記者会見で強調していました。
この事件は、裁判所が公正な判断をしたという象徴的なもので、法律や法律家が、無実の罪を着せられた人を守る盾になった事件と言えます。
現実の世界での事件に遭遇して、法律を学んでいた寅子たち法学部の学生は、改めて、専門的な知識を身につけていこうと思うのでしょう。
「虎に翼」の共亜事件のモデルは帝人事件
「虎に翼」の共亜事件は、1934年におきた疑獄事件「帝人事件」がモデルです。
ドラマのプロデューサーが、放送開始前のインタビューで、このドラマのモデルとなった三淵嘉子さんの父が勤めていた銀行で起きた事件にヒントを得ていると話していることで、確実になりました。
三淵嘉子さんの父・武藤貞雄さんが勤めていたのが台湾銀行であり、その銀行が舞台となった事件が帝人事件です。
帝人事件と三淵嘉子の父の関係は?
三淵嘉子さんの父、武藤貞雄さんは、逮捕された事実はないので、台湾銀行の違う部署の勤務だったのだと思われます。
武藤貞雄さんは、東京帝大卒で台湾銀行のエリート銀行マンで、シンガポールやニューヨークで海外勤務もありました。
ドラマの寅子の父直言は、帝都銀行という日本の銀行勤務で、穂高重親教授の教え子だったことから、明律大卒かと思っていたら、ドラマに出てきた新聞で、東京帝大卒であり、三淵嘉子さんの父と同じようにシンガポールやニューヨーク勤務もあったことがわかりました。
子供たちは日本に帰って来てから生まれたのでしょうか。
寅子のモデル三淵嘉子さんの父について詳しくはこちら↓↓
帝人事件と石田和外(桂場統一郎のモデル)の関係は?
桂場統一郎のモデルである石田和外さんは、帝人事件の裁判に裁判官として参加し、判決文を起案しています。
事件自体が事実無根だということを強調するために、「水中に月影を掬するが如し」という名文句を使って全員に無罪を言い渡して注目されました。
ドラマでは、寅子が法を学びたいというきっかけを見つけた時、法を学ぶ決心をした時に立ち会った桂場統一郎が、父の裁判の裁判官の1人となります。
帝人事件を担当したということが、桂場統一郎のモデルが石田和外さんだという決め手の一つになりました。
この事件をとおして、また、寅子は法を学ぶことの意義を強く思うようになるのでしょう。
桂場統一郎のモデル石田和外については詳しくはこちら↓↓
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まとめ
「虎に翼」の共亜事件のモデルとなった実話の帝人事件をわかりやすく解説します。
- 虎に翼の共亜事件は1934年の帝人事件です。
- ドラマのプロデューサーが、三淵嘉子さんの父が勤めていた銀行で起こった事件を参考にしたと話していました。
- 帝人事件は台湾銀行を舞台にした、株取引にかかわる大汚職事件で16人もの逮捕者、内閣総辞職となりました。
- 長い裁判の末、事件自体がなかったことだと、全員無罪となりました。
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